医工連携の最前線 医療機器ビジネスに挑むパイオニアたち


医療機器開発を支える医工連携プラットフォーム
一般財団法人 ふくしま医療機器産業推進機構ふくしま医療機器開発支援センター

ふくしま医療機器開発支援センターを擁し、医療機器の開発から事業化までをワンストップで支援する。




所在地 福島県郡山市富田町字満水田27番8
職員数 53名(2017年8月時点)
設置背景 福島県は、国内でも有数の「医療機器生産県」である。
「福島県復興計画」の重点プロジェクトにおいても「新たな時代をリードする産業」として「医療機器産業の集積」を位置づけ、「世界に貢献する医療機器産業の一大集積地」を目指している。2013年には、ふくしま医療機器開発支援センターを運営するためにふくしま医療機器産業推進機構が設立され、センターの運営事業、また機構の独自事業である企業の支援や研修・人材育成事業を行っている。
うつくしま次世代医療産業集積プロジェクト
沿革
  • 2012年 福島県医療機器開発・安全性評価センター(仮称)整備事業として国が予算措置
  • 2013年 一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構設立
  • 2014年 福島県庁内から郡山市へ移転し、事業化支援事業開始
  • 2016年 (一財)ふくしま医療機器産業推進機構を指定事業管理者として「ふくしま医療機器開発支援センター」開所
    機構がセンター内へ移転安全性評価試験業務等開始

ふくしま医療機器産業推進機構HP


事業内容

ふくしま医療機器
開発支援センターの運営

国際基準に対応した施設を活用し、医療機器の開発から事業化までのワンストップ支援。

医療機器に関する事業化支援

医療施設向け及び介護施設向けロボットの施設への無償貸与によるユーザビリティ評価、ロボットニーズの調査等、導入支援。

医療関連機器に関する
製品化支援事業

会津若松市内企業の医療機器産業への参入支援(医療トレーニング機器開発促進事業)。

人材育成

医療機器の設計・製造に精通したエンジニアの育成(医工連携人材育成プログラム)や、未来のメディカルビジネスリーダーの育成(医療関連産業高度人材育成プログラム)。

安全性に関する情報収集、整理、提供

安全性の高い医療機器開発と使用の支援や、手技データの入力・分析を行う(ふくしま医療機器産業市販後調査事業)。

コンサルティング

開発から事業化の各段階に合わせた個別実務サポート(Step by Step SUPPORT)や、QMS、ISO13485、QSR等の取得支援等。

交流促進及び取引支援

福島県医療福祉機器産業協議会や、医療機器設計製造に特化した展示会(メディカルクリエーションふくしま)の事務局。
ふくしま医療福祉機器開発事業費補助金で開発された製品の海外販路拡大(ASEAN販路拡大事業)。

参照:ふくしま医療機器産業推進機構リーフレット

支援の特徴01
上流から下流まで一貫したサポート

同機構では、人材育成や、企業のマッチングといった開発の上流から、
生物学的安全性評価やユーザビリティ評価といった下流まで一貫したサポートを提供している。

人材育成

企業向け医療機器の設計・製造に精通したエンジニア育成事業として、「医工連携人材育成プログラム」を提供している。本事業では、新規参入における基礎知識から、規制対応や海外展開時に必要な知識まで幅広い講座を設け、企業において医療機器開発から販売までに対応できる人材を育成する。また、中高大学生及び大学院生等に対する育成プログラムも実施しており、将来の地域産業の担い手を育てている。

出典:ふくしま医療機器開発支援センターパンフレット

マッチング

企業からのマッチング依頼への対応に加え、メディカルクリエーションふくしまや、福島県医療福祉機器産業協議会におけるマッチング機会を設定し、ものづくり企業と製造販売企業をつなぐ事業を実施している。受託事業内では、医師と企業の間のマッチングも実施し、医工連携の手助けも行う。

出典:ふくしま医療機器開発支援センターパンフレット

生物学的安全性評価

2016年11月に、同機構が指定管理者となって「ふくしま医療機器開発支援センター」が開所した。同センターは、大型動物(豚)に特化してGLP取得を目指した試験センターである。企業は、センターの試験設備を利用して生物学的安全性評価試験のデータを取得することができる。

出典:ふくしま医療機器開発支援センターパンフレット

ユーザビリティ評価

医療機器は、ISO60601や、IECの基準において、安全性評価、有効性評価に加え、ユーザビリティ評価が求められることとなった。同機構の提供する、開発から事業化の各段階における個別実務サポート「Step by Step SUPPORT」の一つである「ユーザビリティテスト」では、ふくしま医療機器開発支援センターの設備を用いてユーザビリティ評価を行うことができ、企業自体で評価する医師・看護師、臨床工学技士等の医療人を準備できない場合、同機構に依頼して手配することが可能である。

出典:Step by Step SUPPORT 広告

支援の特徴02
ソフト・ハード一体型のサポート

同機構に所属する職員や全国のコーディネーター(ソフト)と、
2016年に開所した「ふくしま医療機器開発支援センター」(ハード)が
一体となり、企業の開発を支援する。

常勤職員による事業化支援

ふくしま医療機器福祉機器開発事業費補助金管理業務中において、機構設立後2017年3月までふくしま医療福祉機器開発事業費補助金の執行を福島県より受託しており、その際複数のコーディネーターがプロジェクトに紐付いた形で逐次雇用され、支援業務を担っていた。当該事業の終了した現在は、同機構の「事業化支援部」に所属する5名の常勤職員が、いわゆる「コーディネーター」としての役割を果たしている。同機構が行っている様々な事業を通じたネットワークを用いて、支援内容に合わせた最適な専門人材を紹介することが可能である。「Step by Step SUPPORT」では、製品企画・開発・規制対応といった企業の開発状況に合わせて、下記のような個別の支援を提供している。

市場・ニーズの目利き
開発したい医療機器について、ユーザーと想定される臨床現場の意思を中心とした委員会を構成し、ニーズの目利きを行う。
設計・評価コーチング
開発を始めた医療機器について、有識者による検討委員会がリスクマネジメントや安全性試験等について助言を行う。
法令・企画適応コンサル
品目申請を行う医療機器について、申請等の手順や方法、国際企画への対応方法を助言する。
販路開拓
販路開拓を行う場合、病院・販社へのアポイントの取り方から海外販路開拓まで助言を行う。

ふくしま医療機器開発支援センター

「復興への重点プロジェクトである医療関連産業集積を一層加速させるための拠点」として、2016年11月ふくしま医療機器開発支援センターが開所した。東北新幹線の郡山駅(東京から1時間20分)から1駅で、都市圏からのアクセスも良いため、東北だけでなく日本各地からの需要を見込んでいる。
同センターは、医療機器の開発から事業化までを一体的に支援することのできる日本初の医療機器開発支援拠点である。「FDA(米国食品医薬品局)などの海外規格に適合した評価機関や大型動物実験ができる施設が少ない」といった医療機器メーカーの声を受け、ISO、GLP等の国際基準に準拠した試験の受託サービスを提供可能な施設を目指している。延べ床面積1万1529平方メートルのセンター内には、電気的・物理学的・化学的安全性評価、生物学的安全性評価のための試験室、評価設備が設置されおり、医療機器の承認申請に必要な試験を、国際基準でワンストップに実施することが可能である。

施設概要

所在地 福島県郡山市富田町字満水田27番8
面積 敷地面積:52,740m2 延床面積:11,529m2
駐車場 約200台(大型バス駐車可)
指定管理者 一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構

ふくしま医療機器開発支援センターHP

今後の活動
全国の医療機器メーカーを福島が支える

福島県における医療機器産業の取組みは、もともと東日本大震災からの復興計画として行われてきた。震災から6年が経過し、事業は転換期を迎えている。事業支援部の松本氏は、全国の医療機器メーカーへのサービス拡大について「当センターは、医療機器産業を福島県に集積させるために設立されたと考えられがちではありますが、福島県だけでなく日本全体の医療機器の開発・承認取得・市販後等を支援できるセンターになるべく頑張りたい」と意気込む。
同機構の行うサービスは、人材育成事業のような比較的安価な新規参入向け支援から、国際基準の評価試験やユーザビリティ評価のような質の高い支援まで幅広く設定されている。機構職員と、センターの設備が多方面から企業の開発を支援する。

企業の方へのメッセージ

事業化に挑戦する全国の医療機器メーカーに対して、各段階で適切で手厚い支援を提供したいと考えています。ぜひ、開発の初期段階からご相談ください!

一般財団法人 ふくしま医療機器産業推進機構 ふくしま医療機器開発支援センター
事業化支援部 部長 松本和巳 氏